概略
国籍 | ![]() |
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生年月日 | 1996年12月15日(24歳) | ||
出身地 | ラドミシュル | ||
身長・体重 | 175cm、61kg |
Oleksandr Zinchenko
ポジションはミッドフィールダー(左サイドハーフ、オフェンシブハーフ、センターハーフ)、ディフェンダー(左サイドバック)。
利き足は左。
ウクライナの次代を担う新エース。
所属するマンチェスター・シティでは偽サイドバックとして新境地を開拓した。
獲得タイトル
クラブ
- マンチェスター・シティFC
- プレミアリーグ:2回 (2017-18, 2018-19)
- EFLカップ:3回 (2017-18, 2018-19, 2019-20)
- FAコミュニティ・シールド:2回 (2018, 2019)
- FAカップ:1回 (2018-19)
個人
- ウクライナ年間最優秀選手:2019
経歴
クラブ
地元ラドミシュルのクラブでプレーを始め、13歳の時にFCシャフタール・ドネツクの下部組織に移籍。
2014年まで所属したが、トップ昇格はかなわずFCウファとプロ契約を結んだ。
2015年3月20日のFCクラスノダール戦でプロデビュー。
2016年7月4日、マンチェスター・シティFCに推定170万ユーロの移籍金で移籍した。
この移籍は一部を驚かせたが、ロシアのスカウトは「本物の才能」と評し、ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントも注目していた。
8月26日、PSVアイントホーフェンにレンタル移籍した。
10月1日のSCヘーレンフェーン戦で加入後初出場を果たした。
2017-18シーズンはマンチェスター・シティに復帰し、2017年10月24日にEFLカップのウルヴァーハンプトン・ワンダラーズFC戦にフル出場し、マンチェスター・シティでのデビューを果たした。
12月13日、スウォンジー・シティ戦でプレミアリーグデビューを果たした。
12月18日、EFLカップのレスター・シティ戦では、1-1の膠着状態からPKを獲得し、準決勝進出に貢献した。
中盤の選手層の厚さから出場機会は限られていたが、グアルディオラ監督によって、バンジャマン・メンディが負傷によって離脱していた左サイドバックとして起用され、一定の出場機会を得た。
2018-19シーズン、EFLカップのオックスフォード・ユナイテッド戦でシーズン初出場を果たした。
同じ週のブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン戦では、メンディとファビアン・デルフの負傷により、このシーズンのリーグ戦初出場を果たした。
2019年1月9日、EFLカップのバートン・アルビオンFC戦でマンチェスター・シティでの初ゴールを挙げた。
2019年6月20日、クラブとの契約を2024年まで延長した。
10月25日、バルセロナで膝の手術を受けた。グアルディオラ監督は回復に5,6週間かかると語った。
12月上旬にトレーニングを再開し、12月11日のNKディナモ・ザグレブ戦で復帰を果たした。
2019-20シーズンから背番号を35番から11番に変更した。
代表
2015年10月12日に開催されたUEFA EURO 2016予選・スペイン代表戦で初キャップ。
2016年5月29日に行われたルーマニア代表との親善試合で初ゴール。
アンドリー・シェフチェンコが保持していた最年少得点記録を19歳に更新した。
UEFA EURO 2016本戦のメンバー入りも果たし、ドイツ代表戦と北アイルランド代表戦に出場した。
エピソード
2017-18シーズンのシティ優勝時のセレモニーで、仲間と喜んでる最中に自身に当たったトロフィーを落とすハプニングがあった。
マンチェスター・シティでデビュー以降、出場した試合は全ての試合で勝利していたが、デビューから24試合目となった2019年8月17日のトッテナム・ホットスパー戦で初めて引き分けて、デビューからの連勝記録が23で止まった。
シティのMFデ・ブライネに似ていると言われており、チームメイトからもいじられているようです。
シティの同僚に「ケビンさん、写真を撮ってください! あれ、別人?」とネタにされている。
こちらの動画では、デ・ブライネは「You’re my ugly brother! = 君は不細工な兄弟だ!」と言っていますね。
ジンチェンコはデ・ブライネと似ていることを楽しんでいるようですが、デ・ブライネは呆れている様子です。
ペップによる左サイドバックへのコンバート
マンチェスター・シティでは左ウイングバックや左SBのポジションで起用されている。
バンジャマン・メンディが負傷で離脱する中、“偽サイドバック”として存在感を放っている。
ロングボールの精度の高さを活かしてアーリークロスを上げることもありますし、得点は多くないですが相手を脅かすミドルシュートも打っていきます。
シティのSBは普通のSBと違い、内側に絞ったポジションを取ることが多いです。
このようなポジションの取り方から偽SBと言われており、ジンチェンコもペップから偽SBとしての役割を与えられています。
普通のSBは大外にいるため、タッチラインを背にすれば180°のみの視野でプレーすることができます。
しかし、偽SBは真ん中に近い位置でプレーしなければならないため、360°が見えていなければいけません。
このような特徴から元々SBをこなしていたプレーヤーが偽SBとなるのは難易度が高いですが、ジンチェンコはMFだったため、すぐに適応し高い能力を発揮することができました。
偽SBとは言ってもずっと内側にポジションを取っているわけではなく、内外うまく使い分けています。
このように適切な選択ができることもジンチェンコの良さです。
また、自分のプレーしやすい位置に止める技術も一級品です。
ペップのチームにおけるサイドバックは、極めて特殊なポジションだ。
単にサイドを上下動するだけでなく、積極的にポゼッションワークに絡んでいく姿勢が求められる。
とりわけビルドアップ時には、中央に移動して“偽ボランチ”として機能し、キーとなるパスを敵陣に供給できなければいけない。
その意味で、中央にスライドしても若さに似合わぬ落ち着いたボールコントロールやパスさばきを見せ、後方から非常に高いパス成功率をマークするジンチェンコはうってつけの人材だった。
「彼はとても才能豊かな選手。プレーの仕方や判断はパーフェクト」とは、彼を評したペップのコメントだ。
守備においても、ペップは「デュエルも積極的」と好印象を語っている。
決して体格に恵まれた方ではない。だが、ジンチェンコは持ち前のインテリジェンスを武器に、正確な予測に基づいた出足の早いインターセプトや、タイミングよく足を出してボールを奪うプレーで苦手分野をカバーしている。
それでも、純粋な守備能力で言えば、右利きのサイドバックであるダニーロを左に回した方が安定するだろう。
しかし、基本的にボール支配率を高めて敵の攻撃機会そのものを減らすのがペップ・シティの哲学だから、ジンチェンコのパスセンスやテクニックが生かされる場面の方がずっと多い。
そうして、ペップはその後もジンチェンコを重用していくようになっていった。
彼もまた指揮官の期待に応え、自分の“居場所”をつかみ取ってみせた。
プレースタイル
元々は10番タイプのテクニカルなMFでした。
足元の技術が高く、高く上がったボールをノーバウンドで柔らかくトラップしたり、バウンドと同時にトラップすることでボールを静止させたりしています。
試合中も難易度の高いボールを自分がプレーしやすい位置にトラップし、チーム全体のスムーズな攻撃につなげています。
また体を開いた状態から鋭いパスを通すことができます。
敵を欺くグラウンダーパスだけでなく、フライパスの精度も高いため、正確なサイドチェンジを行うこともできます。
PSV時代は、高いポジションに進出して華麗なテクニックでゴールに直結する仕事をこなし、低い位置ではルカ・モドリッチを彷彿とさせるような細かなターンで状況を打開していた天才肌のMF。
細かなステップから柔らかいボールタッチで相手を翻弄する。
ウクライナ代表では、攻撃的なセントラルMFのポジションでコノプリャンカら両翼にボールを供給しながら中盤でタクトを振り、ゲームを構築する役割を任される。
サイドバックとして
従来のサイドバックは、アスリート系のサイドバックが主流でした。
激しい上下運動を繰り返し、スピードがあるが好まれていました。
ジンチェンコはその逆で、テクニックと視野の広さがある選手です。
なぜなら、元々10番でプレーしていた経験があるからです。
そのため、サイドバックとしては異質ですが、ペップが求める左サイドバックにフィットした形になります。
細かいボールタッチのドリブルに加えて、絶妙なタイミングでサイドチェンジができる視野の広さとテクニックの高さが特徴的です。
やはり、元中盤の選手ですから精度の高いパスを蹴られます。
18-19シーズンは、14試合に先発出場してパス成功率は91%を記録しています。
自陣でのパスミスは失点に繋がるリスクがあるため、正確なパスが蹴られるジンチェンコは安心感があります。
その持ち前のパス精度を生かして、ラポルテらとビルドアップしていき前線へと繋げていきます。
ジンチェンコはクレバーな選手です。逆サイドのカイル・ウォーカーのポジショニングをみながら中に入って偽SBとして動いたり、左ウイングの選手が中に入ったら外に開いてウイングのポジションでプレーします。
このポジショニングセンスもジンチェンコは優れていると思います。
中盤でスペースを見つけるための動きをしてきたからこそ、臨機応変なポジショニングを行うことができていると見受けられます。
ペップが求める理想的な動き、それこそバイエルンのアラバのような動きに到達しつつあります。
マンチェスター・シティでは周りのMFにシンプルに預けるプレーが求められることから、細かいキックフェイントを使いながら冷静にボールを繋いでいく。
デルフと比べるとパス&ゴーの意識が強く、俊敏なステップから次のパスを受けるスペースに飛び出すことができるのも特徴的だ。
引きつけながらボールを味方に預け、一気にリターンを受けられるエリアへと抜け出す。
献身的な動きでハーフスペースに走り込み、ウイングプレーヤーに自由を生むことも欠かさない。
副次的にではあるが、1対1の守備スキルも向上している。
距離感を取るのが巧く、間合いを詰めるスピードもあるので、レスターのリヤド・マレズも突破できずに苦しんだ。
高い機動力とボール扱いのスキルを兼ね備えた彼は、現在のチームメイトの中ではギュンドアンに近い。
日本代表で言えば、ボールを扱う技術や狭いスペースでも受けられる技術といった面で川崎フロンターレの大島僚太との共通点が多い。