概略
国籍 | ![]() |
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生年月日 | 1993年1月7日(28歳) | ||
出身地 | シュコーフィア・ロカ | ||
身長 | 188cm | ||
体重 | 83kg |
Jan Oblak
ポジションはゴールキーパー。
利き足は右。
スロベニアが世界に誇る現役屈指の世界的ゴールキーパー。
アトレティコ・マドリードでは2015-16シーズンから4シーズン連続でリーガ最優秀ゴールキーパー賞、最小失点ゴールキーパーに贈られるサモラ賞を受賞しており、データや市場価値の面からも世界最高のゴールキーパーの一人と評価されている。
ドイツの移籍市場専門サイト、transfermarktによる推定市場価値は2020年10月現在9000万ユーロで、ゴールキーパーとして最高額、ラ・リーガではリオネル・メッシに次いで2番目の額となっている。
また2019年12月に記録した1億ユーロはアリソンやテア・シュテーゲンなどを抜き、ゴールキーパー歴代最高額記録となっている。
獲得タイトル
クラブ
- SLベンフィカ
- プリメイラ・リーガ:2013-14
- タッサ・デ・ポルトガル:2013-14
- タッサ・ダ・リーガ:2013-14
- アトレティコ・マドリード
- スーペルコパ・デ・エスパーニャ:2014
- UEFAヨーロッパリーグ:2017-18
- UEFAスーパーカップ:2018
個人
- プリメイラ・リーガ 最優秀ゴールキーパー : 2013-14
- ラ・リーガ・サモラ・トロフィー:2015-16,2016-17,2017-18,2018-19,
- ラ・リーガ チーム・オブ・ザ・シーズン:2015-16,2016-17
- UEFAチャンピオンズリーグ スカッド・オブ・ザ・シーズン:2015-16,2016-17
- ラ・リーガ 最優秀ゴールキーパー:2015-16,2016-17,2017-18,2018-19
- UEFA ラ・リーガ チーム・オブ・ザ・シーズン: 2015–16,2016–17,2017–18,2018–19
- FIFA FIFPro ワールド11 5th チーム:2017-18
- UEFAヨーロッパリーグ スカッド・オブ・ザ・シーズン:2017-18
- スロベニア年間最優秀選手:2015,2016,2017,2018
- スロベニア年間最優秀ユース選手:2012,2013
経歴
クラブ
10歳の時、オリンピア・リュブリャナのユースクラブに移籍。
自宅からオリンピアの練習場までは30kmほど離れており両親に送り迎えをしてもらっていたが、両親の都合が悪い時には自転車で練習場へ通うこともあった。
クラブが財政難で解散した2004-05シーズンまで在籍し、その後は新たに設立されたオリンピア・リュブリャナ(別チーム)に在籍した。
16歳の時に、当時クラブの正GK兼GKコーチだったロヴェルト・ヴォルクに自身を超える才能を見込まれスロベニア・リーグデビューを飾り、17歳で正ゴールキーパーになった。
2010年6月14日、オブラクはポルトガルの名門、ベンフィカに移籍し、8月にはベイラ・マルにレンタル移籍した。
1月にはオリャネンセに2010-11シーズン終了までレンタル移籍した。
2011-12シーズンは、レイリアにレンタル移籍した。
2012年1月15日、ナシオナルとの試合に出場し、リーグデビューを果たした。
チームは2-2で引き分けた。
2013年7月、ベンフィカと契約が破棄されたと主張しシーズン前のトレーニングに参加しなかった。
翌月末、彼は「誤解」があったと説明し、チームと2018年まで契約延長した。
2013-14シーズン、アルトゥール・モラエスのミスが続いたことで、監督のジョルジェ・ジェズスによりレギュラーに抜擢され、先発した15試合のうち13試合でクリーンシートを記録した。
ベンフィカでのデビュー戦となったポルトとのオ・クラシコで2-0でのクリーンシート、ヨーロッパリーグ準決勝のユヴェントス戦での0-0のクリーンシート など、チームに多大な貢献をし、2014年7月6日には、リーグの年間最優秀ゴールキーパー賞を受賞した。
2014年7月16日、アトレティコ・マドリードはベンフィカとオブラクの移籍加入について合意したと発表した。
アトレティコは移籍金として1600万ユーロを支払い、ラ・リーガ史上最も高価なゴールキーパーの移籍となった。
契約期間は6年背番号はチェルシーへ復帰した前シーズンまでの正ゴールキーパー、ティボ・クルトゥワが着けていた13番となった。
2014年8月19日、スーペルコパ・デ・エスパーニャのレアル・マドリード戦で、ミゲル・アンヘル・モジャの代わりとしてクラブデビューした。
2014年9月16日、チャンピオンズリーググループステージ、オリンピアコスFC戦でチャンピオンズリーグデビューした。
最初のクリーンシートは、コパ・デル・レイラウンド32、ルスピタレートで、3-0で勝利した。
2015年3月17日、チャンピオンズリーグ、ラウンド16の2ndレグのバイエル・レバークーゼン戦では、23分に負傷したモジャの代わりとして出場し、ホームで1-0のクリーンシートで勝利した。
PK戦では、ハカン・チャルハノールのシュートを止め、ベスト8進出に貢献した。
4日後、ホームでのヘタフェ戦では、リーグデビューを果たし、チームは2-0で勝利した。
2016年2月に2021年までの契約延長を行った。
2016年5月3日、チャンピオンズリーグ準決勝の2ndレグ、アウェイのバイエルン・ミュンヘン戦でトーマス・ミュラーのPKを止め、チームは2-1で敗れたが、アウェイゴールで決勝に進んだ。
決勝戦ではレアル・マドリードに敗れるも、チャンピオンズ・リーグのベスト11に選出された。
リーグ戦では38試合で18失点、失点率0.47を記録し、これまで最小失点率記録だったデポルティーボ・ラ・コルーニャのフランシスコ・リアーノの1993-94シーズンの記録と並び、サモラ賞を受賞した。
2017年3月15日、チャンピオンズリーグのバイエル・レバークーゼン戦にてシュート3本を連続でセーブし、無失点の引き分けで準々決勝への通過を確実にしたことで注目を浴びた。
試合後、欧州サッカー連盟のウェブサイトで「こういうことはよくある。3つのシュートをセーブすることもあれば、3つとも得点されることもある」と冷静に語った。
再びチャンピオンズリーグのベスト・イレブンに選出され、2シーズン連続でサモラ賞も獲得した。
また、バロンドールではゴールキーパーではダビド・デ・ヘアに次ぐ、26位にランクインした。
2018年1月28日、ラス・パルマスとの試合で、アトレティコでのリーグ戦100試合目を迎えた。
リーグ戦100試合のうち、クリーンシートは59試合、失点はわずか54だった。
ヨーロッパリーグ決勝では3-0のクリーンシートで勝利し、アトレティコにとって8年間で3度目となるヨーロッパリーグ優勝に貢献し、自身初となるヨーロッパでのタイトルでとなった。
また、ヨーロッパリーグのベスト・イレブンに選出された。
リーグ戦終了時には、37試合で22失点の記録を残し、3シーズン連続でサモラ賞を受賞した。
これによりラ・リーガ最優秀ゴールキーパーに選出されたが、3シーズン連続の受賞は史上初となった。
バロンドールでは、再び選出され、25位にランクインした。
2018年11月6日、チャンピオンズリーグ グループステージのボルシア・ドルトムント戦で2-0のクリーンシートで勝利し、アトレティコで100試合目のクリーンシートを記録した。
これは、わずか178戦で達成した偉業であった。
2019年4月17日、アトレティコと2023年まで契約を延長した。シーズン終了後には4シーズン連続でサモラ賞を受賞し、 ビクトル・バルデスの連続受賞記録に並んだ。
また、史上初となる4シーズン連続でのラ・リーガ最優秀ゴールキーパーとなった。
2019-20シーズン開幕前にチームの副キャプテンに指名された。
2019年10月21日、バロンドールのゴールキーパー版となるヤシン・トロフィーにノミネートされるも、4位となり受賞を逃した。
2019年12月6日、ビジャレアル戦で0-0でクリーンシートで引き分けた。
この試合でリーグ戦96試合目のクリーンシートを達成し、アベル・レシーノのクラブ記録を更新した。
2020年3月11日、チャンピオンズリーグ ラウンド16 2ndレグのリヴァプールFC戦では9つのシュートセーブをし、チームは3-2(2戦合計4-2)で勝利、試合後にマン・オブ・ザ・マッチに選出された。
6月17日のオサスナ戦では、ラ・リーガ史上最少試合出場、かつ外国籍の選手として初めての100試合のクリーンシートを達成した。
リーグ戦全38試合に出場し27失点、1試合平均0.71失点の記録を残したものの、5年連続でのサモラ賞受賞は逃した。
代表
年代別のスロベニア代表を経験し、2015年末にサミール・ハンダノヴィッチが代表から引退した後はA代表の正ゴールキーパーを務めている。
2009年8月にスロベニアU-21代表に初招集され、同年9月9日のフランス戦でデビューした。
2012年9月11日に開催された2014 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選 ノルウェー戦でA代表チームでの初出場を果たしたが、チームは2-1で敗れた。
2019年9月6日、初めてスロベニア代表チームのキャプテンとして出場した。
エピソード
ゴールキーピング能力だけでなく、足下の技術やビルドアップの質も要求されるようになり、現代フットボール界で重要な存在となっているゴールキーパー。
一方で、大きなミスを犯してしまえば多くの批判にさらされてしまう厳しいポジションだ。
『squawka』は、総合的な能力をベースに今季のパフォーマンスも加味したうえで、世界のGKをランク付けし、トップ10を発表した。
NO.1に選ばれたのは、アトレティコ・マドリーに所属するスロベニア代表GKヤン・オブラク。
オブラクは昨季、リーガ・エスパニョーラで27試合に出場してわずか21失点。
11試合でクリーンシートを記録しており、73.75%のセーブ率を残す。
シュートストップ能力に長け、ゴールマウスを小さく見せてしまう圧倒的な存在感でアトレティコの堅守を最後尾から支えている。
チャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16で、リヴァプール撃破の立役者にもなった。
2位はリヴァプールのブラジル代表GKアリソン。
3位はレアル・マドリーのベルギー代表GKティボー・クルトワ。
そのほか、バルセロナのドイツ代表GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンやマンチェスター・ユナイテッドのスペイン代表GKダビド・デ・ヘア、マンチェスター・シティのブラジル代表GKエデルソンらもTOP10にランクイン。
『squawka』によるGK世界ランキングTOP10は以下のとおり。
1位…ヤン・オブラク(アトレティコ・マドリー)
2位…アリソン(リヴァプール)
3位…ティボー・クルトワ(レアル・マドリー)
4位…マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)
5位…ケイラー・ナバス(パリ・サンジェルマン)
6位…マヌエル・ノイアー(バイエルン・ミュンヘン)
7位…ピーター・グラクシ(RBライプツィヒ)
8位…サミル・ハンダノヴィッチ(インテル)
9位…ダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)
10位…エデルソン(マンチェスター・シティ)
ヤン・オブラクは現在最高のゴールキーパーだと『squawka』は評価しているようです。
プレースタイル
的確なポジショニング、鋭い反射神経、高いセービング技術を兼ね備え、世界屈指のシュートストップ力を持つ。
常に冷静で判断力に優れ試合中のミスが少なく、安定して高いパフォーマンスを維持している。
特に16歳でのデビュー時からベテランさながらの試合中の冷静さが評価されており、オブラク自身も自身の冷静さについて「頭の中は40歳」と冗談交じりに語っている。
サッカーライターの西部謙司はオブラクの技術について「とりたてて特殊な能力があるわけではないが、ゴールキーパーとしての基本を丁寧に実行しておりシュートストップの動きに全く無駄が無い。腕の使い方が上手いためボールの勢いに負けない。ハイボールの処理やセービングの際に確実にゴールへ角度のない方向にボールを送っており、無理な体勢でもボールコントロールする能力が優れている。」と評している。
アトレティコでは、チームの戦術との兼ね合いもありビルドアップにはあまり関わらず、基本的にはゴールラインに張り付きシュートストップに専念するプレースタイルを取っている。
しかし足下の技術が無いわけではなく、左右両足でビルドアップに参加できる。
オブラクは現在流行のビルドアップに加わるタイプのGKではなく、本業ともいえるシュートストップの名手である。
身長188cmはGKとして大きい部類ではないが、ゴールをカバーする能力は傑出している。
ミドルシュート、至近距離からのヘディング、1対1、こぼれ球……ありとあらゆるシュートを止めまくる。
驚くほど敏捷にも見えず、なぜオブラクがこれほどシュートを止められるのかは不思議なぐらいだ。
ポジショニングやシュートの瞬間に両足に均等に体重をかけているなど、GKの基本を丁寧に実行している印象はある。
また、シュートストップの動作に全く無駄がない。
フワッと動いて止めていて、動きのロスが少ない。
足の運び方やシュート直前のプレジャンプ(小さく跳んで備える)が的確なのだろう。
ただ、これもトップクラスのGKとして特筆すべきかどうかはわからない。
とりたてて特殊なところのないオブラクなのだが、腕の強さがあり、使い方がうまい。
ぎりぎりに腕を伸ばしてシュートを止めるときに、ボールの勢いに負けることがない。
腕力というより、ボールに腕を当てにいっているので、勢いに負けないのだろう。
セーブする前のオブラクは腕をやや体の後方に引いていて、そこから腕を出してボールに当てることでパワーを得ている。
ハイクロスの処理も安定していて、クロスやシュートをはじくときに確実にゴールへの角度のない場所へボールを送っている。
正面にポロリとやることが非常に少ない。
無理な体勢でもボールを「コントロール」する能力が優れている。
欠点のないオブラクは、実は足下もかなりうまい。
GKの仕事量の拡大とともに、チームの戦術に合ったGKを起用する、あるいはGKの能力に戦術を合わせることが必要になっている。
つまり、従来はチーム戦術から切り離されていたGKだが、現在ではチーム戦術に組み込まれる存在になっている。
あらゆる能力に秀でていれば何の問題もないとはいえ、選手には得手不得手が必ずあるものだ。
GKとチームの相性は、かつてなく重要になった。
その点、オブラクとアトレティコの相性はぴったりといえる。
オブラクは「ゴールを守る」というGKの本質的な能力に優れているが、アトレティコだからそれに専念できるメリットもあるのだ。
ディフェンスライン裏のスペースが大きいチームなら、GKはスペースをカバーするために前にポジションをとらざるをえない。
そこでのボール処理で手は使えないので、DFと同じ能力が求められる。
ノイアーがDF顔負けのスライディングタックルを披露しはじめた時は誰もが驚いたが、ペナルティーエリアから出てしまえば、GKはもうフィールドプレーヤーと同じにならざるをえないのだ。
アトレティコは、ディフェンスライン裏に大きなスペースを空けたまま守るチームではない。
オブラクも無闇に前に出ることはなく、それがシュートへの準備の速さや安定感につながっているところがある。